なにが言いたいの?「超適当にやってようぜ」

井筒監督

タイトルの通り、井筒監督。俺はこの人好きですよ。タモリ倶楽部にもちょこちょこ出てたし、虎ノ門の「こちトラ自腹じゃ!」のコーナーも大好きでビデオにとって見ています。ガラが悪くていつも怒ってるけど、けっこうシャレも通じるおもろいオッサンという印象。
ただ最近井筒監督が監督としてよりタレント・映画評論家として売れてきてちょっと危ういかな、という気がします。さっきもトゥナイト2を見ていたら出ていたし、少し前にもNHKでスティーヴ・マックイーンについて熱く語っていました。で、それらを見ていると辛口の映画評論家として、いくら井筒監督が辛口でわめいても聞き手が「なるほど、そうですよね」とすべて肯定してしまっている。

特にさっきのトゥナイト2での聞き手のオッサンはひどくて監督の発言のすべてを全肯定、監督の言ったことをもう一度繰り返してうなづくだけの「ラジオ深夜放送でメインパーソナリティの話にあいづちをうつ構成作家」並の迎合の仕方。
もともと虎ノ門での監督のコーナーが面白かったのは、監督が映画の悪口を言った途端に周りの人間がいっせいに監督の発言を「そんなことないですよ!」「そんなわけないじゃないですか!」「面白い映画ですよ!」と否定しまくるのがバランスがとれていて面白かったわけで、、ああいう風にビートたけしや立川談誌のように相手が何を言おうと「全くその通りです」「バッサリ斬ってくれました」などと持ち上げてしまうと毒舌ショーとしての面白さは途端になくなってしまうんですよね(※巻末注)。

毒舌なんてものはみんなに疎まれながら言うからこそ価値があるわけで、世間に肯定されちゃった時点でもうそれは毒舌でもなんでもない、ただの文化人の知った風な評論にすぎないんですな。

虎ノ門で蛭子さんが「監督はタレントとして売れてしまってそっちでお金儲かっちゃうと、表現者としてダメになってしまうんじゃないか」というような事をポツリと言っていて、蛭子さんのことなのでみんなに全然相手にされてなかったんですが、けっこう的確な指摘なんじゃないかと思います。(今TVに出ている人で一番「毒舌」なのは蛭子さんかも、、、)

で、映画について吠える井筒監督ですが彼の言ってる映画評論はたぶんそんなに的を外してはいない気がします。日本映画がつまらんともよく言ってます。実際つまらん。でも俺が思うに、日本映画がつまらん理由は逆にこういう日本映画がつまらん、といって映画について一家言あるような人がつまらなくしているというパラドクスがある気がします。

つまり、映画に携わる人があまりにも映画オタク化してしまって「映画とはこうあるべきだ」「いい映画とはこういうモノだ」という映画通、評論家きどりの人間たちばかりが映画を作っていることが逆に映画を面白くなくしてしまっている気がするのです。結局隆盛を誇っているジャンルというのは、いいもの、芸術的にすぐれたもの、というこだわりよりも単純に受けるモノ、面白いモノを作ろうとしているところからパワーが湧いてくるわけで、玉石混淆、くだらないもの、大衆的なもの、商業主義的なものが大量に流れていく中で本当に素晴らしいものも生まれてくるわけだし、そういういいもの悪いものくだらないものすべて内包してしまうこと懐の大きさがそのジャンルを盛り上げる原動力になるし、そういった幅の大きさこそがそのジャンルの「面白さ」そのものであると俺は考えるわけです。

今みたいに一部の映画オタク、映画マニアしか集まらないような閉鎖性、くだらない娯楽大作を最初からバカにして存在さえも認めないようなマニアの狭量性こそが、今の日本映画のつまらなさ、度量の低さなのかな、と俺は思ってます。そもそも最初から「芸術」を狙って作ったものなんて芸術にはなりえないですよね。映画のそういう選民意識というか、芸術きどりの姿勢がエンターテイメントの王座をTVに奪われてしまった一番の原因のような気がします。

って映画をほとんど見ない俺が映画について語るというのも実に滑稽ですな!
ちなみに俺が最後に劇場で見た映画は「クールランニング」です。
(期待してなかったら意外に面白かったよ!)
ビデオを含めるなら最後に見たのは「キューブ」です。
(これはマジですごく面白かったよ!)
Vシネも含めるなら最後に見たのは「女教師物語 生徒の目の前で…」です。
(これがオチだよ!)

※2
余談ですが立川談誌はTVに出ると本人は「俺っていい年してこんな馬鹿なことやってるんだぜ、こんな無責任なことボロクソ言ってるんだぜ、ツッコんでくれよ。」と言わんばかりに暴言だの失敗談だのを話しているのに、周りの人間がすべて肯定して「さすが師匠!」とばかりに持ち上げてしまって談誌の言ったバカ話がすべて宙に浮いてしまう事が多くて(そしてその後聞き手は緊張気味に黙り込み、談誌はタバコをプカーッとふかしてシ〜ンと間が空く)、なんだか逆にちょっと彼がかわいそうになってくる時があります。あの人の芸風は「なにたわごと言ってんだこのオッサン!」くらいに返す方が面白いと思うし、彼もそうされたがってるように見えるんだけれども。(彼本人がどう思ってるか知りませんが)

2002年03月14日04時17分


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