「クライシス」-作:真刈信二/画:高橋のぼる(講談社)
今はなきミスターマガジンの連載。俺はミスターマガジン好きだったんですよね。対象層が若手サラリーマンなんで、こういったビジネスものが多かった。

この漫画はちょっと癖のある日本の大企業のリスク管理担当者が会社を守るために奮闘する、というもの。リスクマネージメント、というと思い出すのは「オフィス北極星」。そう、原作者がオフィス北極星と同じ人です。オフィス北極星の日本版だと思ってもらってよろしい。もっともオフィス〜ではリスク担当は独立したコンサルタントでこっちの担当は単なる一社員ですが。

オフィス北極星のファンとしては当然全巻そろえるわけです。もちろん原作者が同じなだけあってそれなりに面白いんですがやはり多少落ちるのは事実。別にそれほどいやらしい絵柄でもないのに女子社員の胸やお尻を強調したカットを多用したり、主人公がまだ若いのにことあるごとにくだらないダジャレ川柳を言ってオチにするのはオッサン層を意識した演出なのでしょうか。ちと違和感があります。

主人公の社員が普段はおちゃらけた無能でスケベなダメ社員なのに、いざ自分の得意分野(この場合リスクマネージメント)になると急に顔つきが変わってプロフェッショナルに変貌するという山岡士郎的キャラも、王道というか、ちょっとありがちですね。若い頃世界中を放浪していたので普通のサラリーマンにないいろんな経験や人脈があるという設定も今や古くさいかな。そもそもそういう回り道をしている人間は大企業は採用しないのが現実。(バブル採用の頃そういうのが流行ったけど、廃れましたね。)あまりこういうキャラにリアリティも魅力も感じませんね。

と悪口ばかり並べ立てましたがこれはもちろんオフィス北極星と比較した場合の話。実際けっこう面白い。それなりに引き込まれて読んでしまいます。なんたって僕も全巻そろえていまだに売ってないのですから。


2002年08月13日20時35分



amazonで「クライシス」を検索
 ひとくちレビュー with COMIC 掲示板